さて やっと落ち着いたので前回の続きですが
全てを一度に説明すると長くなりましたが
読む方は流し読みせずじっくり時間のある時に
読んでください。


夜上村氏と夕食中、マイナス27度の中、
即着替えてオーロラを撮影し
彼が24時で寝るので解散。

オーロラ出てましたが一旦自分も家に引き上げました。

結構いいオーロラでしたので
夜12時半頃からパソコンを立ち上げ
画像の整理、またメール返信など机に向かってました。

すると夜中1時頃
ボンッ!??』爆弾
という音とともに部屋の白い壁が一気にオレンジ色に

「なんやこれは!」と驚き、窓のカーテンを開けると
家の前に止めてあった車がこの写真の状態!!!

一言で表すと火事です!!メラメラ

まずは何をすべきか

携帯電話を手に取り緊急電話 
左手に携帯電話、右手で夜中なので近所は
寝てるので壁を思いっきりたたき
近隣住人をこれでもかというくらいたたき起こしながら、
洗面所と台所と風呂の浴槽の蛇口をこれ以上まわしたら
蛇口取れるでっ!ていうくらいひねりまわし
水を貯め始め、中でも浴槽は自分が
最終手段の場合、炎からの防空壕がわりに
ジャンプインする可能性があるので温めのお湯を。
そしてたまたまこの間の南米で
買ったケーナという笛が
自分が浴槽に潜ってる間の潜望鏡というか
シュノーケル変わりになると考え、
笛を燃えないように
浴槽に放りこんでおきました。

お湯の温度は水風呂だと
ただの修行になってしまうので。


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これは911通報前の発見した状態で家の窓から
玄関はなんとこの炎の目の前です。

次に何をすべきか

となりのおじちゃんはパジャマ姿で外に出て
呆然と立ち尽くすだけ。

たき火じゃないんですから!パンチ!

でも自分はこのまま外に出るともう
しばらく部屋に戻ってこれないと思い、
気温マイナス27度、翌朝はー30度の予想なので
防寒具をあるだけ着込まないと
その場しのぎで火からは逃れても
その後凍傷、凍死の危険性大。

消防への通報で消防隊が耐火服に着替え出陣するまでに約2分
消防署からうちまではサイレン鳴らしてくると1分30秒。

約3分半ー遅くても4分あれば
消防士が来ると見込む。


ここで選択肢が二つ重い浮かびました。

第一案:このまま服だけ着て逃げたら命は助かりますが、
商売道具はなくなる可能性大。
よって鎮火したあとユーコン観光局の
アジアセールス部門などへ就活


第二案:建物に燃え移り、家の中まで燃えてしまわないうちに
消防隊が来るという賭け。
しかし来なかった場合、逃げ遅れて焼死または
一酸化炭素中毒のリスク有り。

ここでは迷わず第2案を選択

しょっちゅうオーロラの緊急出動で
2分で着替えるのは訓練済み。
先ほども上村氏と訓練したばかり。

まずはアクリルなど化繊の服は燃えると解けて皮膚に張り付き
重傷になると聞いたことがあったので、綿かウール100%の
インナーを着込まないといけないので
極寒のオーロラ撮影で着る
ウール100%の長袖上下にウール100%の靴下を着込み
その上に綿の服をきて、フリースを着て最後は
ダウンの上下。
着替えてる間に今度は何を持ち出さないと
いけないかを優先順に頭で整理し

ハードディスク1台とパソコンと
オーロラ用レンズ、カメラ、
パスポートにカナダ永住権証、財布を
リモワのアルミケースに放り込み

それ以外はかさばるものは置いていくことに
望遠レンズや予備ハードディスク、
堅いものは昨年買った耐火、防水ミニ金庫に入れて
もし残ればラッキー、
なくなれば望遠レンズも2月3月はほとんど使わないので
またオーロラシーズンが終わったら買い直せばいい。
パンツは減ってもこの際2枚でも誰にも迷惑をかけずに
生きていけることをこの数ヶ月で実証済み。チョキ
3枚も実際いらない。


消防隊が来る前にこちらの逃走準備完了ここまでで約3分。

しかし、この時点で火はもう建物に引火、玄関のドアと
外壁まで燃えてる状態でとても
もう玄関からは出れる状態ではなくなっていました。叫び

車が燃えてるのでガソリンに引火すると一気に爆発
また車はあらゆるオイルがあり
一度火がつくと火災の燃料宝庫!

なのでガラス張りのドアもガラス飛散の可能性あり近づけず。

ここからあと30秒で消防隊が来ないと
ここから昨年に引き続き引田天功の炎の大脱出劇です。

とりあえず爆発が起こる前に
一番頑丈そうな冷蔵庫に身を潜め、
ドアのフチやガラスの枠など
プラスチックやゴム部分が解け始めたのか
煙が隙間から一気に入ってきたので
長袖綿の服を顔にぐるぐる巻きにして
この際アルカイダでもなんとでも言われてもいいので
マスク変わりにして、脱出方法を考えました。
時間は30秒以内。

このまま頭からシャワーを浴びて、
ダウン上下に帽子、靴まで水をたっぷり
湿らせて即席耐火服にして
そしたら10秒くらい炎の中を走っても
耐えれるだろうと。

さーーー決断の時が迫ってきて
もうーシャワーかと思ったとたん、
ドアやガラスに放水が当たりはじめ、
おーーー消防隊が予想通り3分30秒以内で来た!!と

これで助かったーーーという一気に安心感が沸き、
ここで気安く火が消えても
ドアをあけて出ていくと
消防隊からの放水をかぶり
ただの罰ゲームのようなので
煙の中じっと部屋で我慢。

警官が懐中電灯を照らしていたので、
こちらも懐中電灯で部屋から合図。

すると消防隊が救助に来てくれて
大事なものと一緒に外へ避難。

以後事情徴収など受けて、その日は家に帰れず、
翌日家に戻り家にあるものは全て無事。
中は隙間から炎が来たのかドアの内側が
黒くなってました。

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昨日鎮火したあとの家の玄関。
左が我が家。隣は車の持ち主のおじちゃんの家で
部屋のガラスは熱で割れて
ベニヤ板が貼ってあります。

車はたき火にあたってるかのように
たちすくむだけのおじちゃんの車で
自分のではありません。

普段は自分の家の前に自分の車を
止めておくのですがオーロラから戻り
家の前におじちゃんの車があり
止めれなかったので
別の場所に止めてましたので
助かりました。

Nikonカレッジの生徒である
青年の方から送っていただいた
お札が車においてあるので
助かったのだと信じておきます。




火災の出火原因:

カナダ極地ではマイナス30度近くになると
エンジンがかからないため、ブロックヒーターといって
エンジンを暖めておく装置が必ずついてます。
一基約1500W。ドライヤーと同じくらいの熱量です。
これが古くなったり、配線が断線していたり、
エンジン内部にオイルが漏れていたりすると
熱で発火するんです。

おじちゃんの車は11年前の車でした。

外壁は黒くても白くても赤くても
緑でも住めるので問題ありません。

ここが嫌なら持ち家じゃないので
また引っ越せばいいだけなので。

自分のように昨年から荷物がない人間でも
緊急時はやはり物の選別に1分=60秒もの時間がかかります。

家を持ってる方なら、なおさらかかるはずなので
普段からきちんと仕分けしておきましょう。


今日はイエローナイフへ朝から移動してきて
やっとパソコンに
向かえるようになりました。